遺伝子変異に合わせたがん治療とは
ー 代表的な遺伝子変異
高頻度マイクロサテライト
不安定性(MSI-High)とは

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)が起こるとどうなるの?

ゲノムには数個のDNA(デオキシリボ核酸)からなる短い文字列が何度も繰り返す「マイクロサテライト」とよばれる部分があります。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、マイクロサテライトの繰り返し回数に異常が起こった状態です。マイクロサテライトの異常がそのままがんの発生につながるわけではありませんが、MSI-Highを示す組織は、がんが発生しやすい状態と考えられています*1
*1 Nojadeh, J.N. et al.: Microsatellite instability in colorectal cancer. EXCLI J. 17: 159-168, 2018.
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)は、DNA修復システムの異常と関連する(イメージ図)
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高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)は、どんな患者さんで確認されているの?

MSI-Highは、子宮内膜がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、卵巣がん、腎盂・尿管がん、前立腺がん、乳がんなどさまざまな臓器のがん患者さんで確認されています*2*3。また、生まれつきがんを発症しやすい遺伝子変異をもつリンチ症候群*4の患者さんの特徴として、MSI-Highがあげられます*3。リンチ症候群による大腸がんでは、遺伝しないタイプの大腸がんとは異なり*5、BRAF遺伝子の変異はほとんど確認されないということも知られています*6
*2 日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会: 成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン 第2版 2019年10月
*3 大腸癌研究会: 遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2016年版
*4 遺伝性大腸がんの代表的な疾患 。一般の大腸がんより若くに発症したり、家族も同じがんを発症したりします。
*5 Koinuma, K. et al.: Mutations of BRAF are associated with extensive hMLH1 promoter methylation in sporadic colorectal carcinomas. Int J Cancer. 108(2): 237-242, 2004.
*6 McGivern, A. et al.: Promoter hypermethylation frequency and BRAF mutations distinguish hereditary non-polyposis colon cancer from sporadic MSI-H colon cancer. Fam Cancer. 3(2): 101-107, 2004.

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)が確認された場合、治療の方針はどう変わるの?

2020年4月現在、遺伝子検査でMSI-Highが確認されれば、血液がん以外のどの臓器のがんでも効果を示す可能性があると期待される保険適用の薬剤があります*2。「免疫チェックポイント阻害剤」とよばれる薬剤で、体が持つ本来の免疫が働けるように促す作用があり、進行・再発の固形がん*7の治療として検討される場合があります。
がんゲノム医療による検査や治療については、主治医、医療機関にてご相談ください。
*7 固形がんとは:血液がん(白血病、悪性リンパ腫など)以外の、臓器や組織などでがん細胞がかたまりを作り、増殖するタイプのがん。

コラムCOLUMNエキスパートパネルとは

がん薬物療法、遺伝医学、遺伝カウンセリング、病理学などに関する専門的な知識をもった医師などの専門家が参加する会議で、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて、患者さんの治療方針を検討します。エキスパートパネルは、国が指定するがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院で開催されます。
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