遺伝子変異に合わせたがん治療とは
ー 代表的な遺伝子変異
HER2遺伝子増幅
(ERBB2コピー数異常)とは

HER2遺伝子の数が増えるとどうなるの?

HER2(ハーツー)は、細胞の増殖に関わるタンパク質のひとつです。
HER2タンパク質を作り出す遺伝子(ERBB2ともよばれます)の数が、乳がんなどで増えていることがあります*1。このように遺伝子の数が増えたり減ったりする変異のことを、「コピー数異常」といいます。HER2遺伝子の数が増えると、たくさんのHER2タンパク質が作られてしまい、必要のないときにも細胞が増殖し、がんが発生しやすくなると考えられています。
*1 Mishra, R. et al.: Genomic alterations of ERBB receptors in cancer: clinical implications. Oncotarget. 8(69): 114371-114392, 2017.
HER2遺伝子増幅によって起こる細胞内の変化(イメージ図)
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HER2遺伝子増幅は、どんな患者さんで確認されているの?

HER2遺伝子の数は、乳がんのほか、胃がんや胆管がん、肺がん、卵巣がん、膣がん、唾液腺がん、膵がん、子宮がん、膀胱がん、大腸がんなど、さまざまな臓器のがん患者さんで増えていることがあります*2。乳がんや胃がんでは、2割くらいの患者さんでHER2遺伝子の数が増えています*1*2
*2 高橋健太、池田貞勝: HER2がんの特徴と治療戦略.医学のあゆみ.vol.269: No.3: 199-202, 2019.

HER2遺伝子増幅が確認された場合、治療の方針はどう変わるの?

2020年4月現在、乳がんと胃がんの患者さんにはHER2遺伝子増幅(ERBB2コピー数異常)に対応した保険適用の薬剤があります。HER2遺伝子の増幅が確認されている細胞を標的として破壊する薬剤や、HER2タンパク質の働きを妨げる薬剤があり、検査でHER2遺伝子増幅が確認されれば、これらの薬剤が効果を示す可能性があると期待されます*3*4
がんゲノム医療による検査、治療については、主治医、医療機関にてご相談ください。
*3 日本乳癌学会: 乳癌診療ガイドライン2018年版
*4 日本胃癌学会: 胃癌治療ガイドライン 医師用 2018年1月改訂 第5版.

コラムCOLUMNエキスパートパネルとは

がん薬物療法、遺伝医学、遺伝カウンセリング、病理学などに関する専門的な知識をもった医師などの専門家が参加する会議で、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて、患者さんの治療方針を検討します。エキスパートパネルは、国が指定するがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院で開催されます。
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