おしえて がんゲノム医療Q&A

がんゲノム医療について

ゲノム医療とはなんですか?
一人ひとりの「ゲノム」の違いに合わせて、病気の診断や治療を行うのが「ゲノム医療」です。「がんゲノム医療」では、がん患者さんによって異なるがんの遺伝子の変化(遺伝子変異)を「がん遺伝子パネル検査」とよばれる検査などで調べ、その情報にもとづいて診断や治療を行います。これまでのように体の“どこに”がんができたかで治療を考えるのではなく、がんの原因となる遺伝子変異に着目します。がん治療の選択肢が広がると期待されます。
ゲノムとはなんですか?
「ゲノム」とは、一人ひとりが持っているすべての遺伝情報のことです。「遺伝子」とはゲノムの中でも、タンパク質の設計図となる情報が書き込まれている部分のことです。遺伝子を設計図とすると、タンパク質はその設計図によって作られる「材料」や「道具」ということができます。正しい時期に正しい場所で、正しいタンパク質が作られることで、私たちの体は成り立っています。
がんゲノム医療はどこで受けられるのですか?
がんゲノム医療は、厚生労働省に指定された、がんゲノム医療に必要とされる設備や体制を備えた医療機関で行われます。「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」、それらと連携する「がんゲノム医療連携病院」があり、がんゲノム医療を受けられる体制が整えられています。これらの病院では、がん遺伝子検査パネルの実施や、検査結果にもとづいた検討・治療が行われます。
なぜ日本でも、がんゲノム医療がはじまったのですか?
わが国では、がんは日本人の死因の多くを占める病気であり、国民の生命と健康にとって重大な問題であるとして、2007年に「がん対策基本法」が施行され、さまざまながん対策が進められてきています。がんゲノム医療は、2018年に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」で、患者本位のがん医療を実現するための施策として推進されることになり、提供体制の整備が進められています。

がん遺伝子パネル検査について

がん遺伝子パネル検査とはなんですか?
がん遺伝子パネル検査は、がんの発生に関わる多数のがんの遺伝子の変異を一度に調べる検査です。検査によって遺伝子に変異が見つかれば、その変異に対し効果が期待できる治療法や薬剤の情報が得られることがあり、治療方法の選択に役立つ場合があります。
検査にはどのくらいの時間がかかりますか?
がん遺伝子パネル検査には、手術で切除したり検査のために採取したがん組織を保存していたものを使うため、ほとんどの場合、あらためて組織の採取に時間をとることはありません*。採取したがん細胞を専門の検査機関に送り、結果が医療機関に届けられるまでの期間については、詳しくは、主治医にお問い合わせください。
* 保存していた組織の状態がよくない場合や検査に必要な量が十分にない場合には、あらためて生検を行ってがん組織を採取することもあります。
がん遺伝子パネル検査を受ければ、治療法が見つかりますか?
がん遺伝子パネル検査」では、患者さんのがんにどのような遺伝子の変化が起こっているのかを包括的に調べますが、必ず遺伝子変異が見つかるわけではありません。また、遺伝子変異が見つかっても、効果が期待できる薬剤の情報が得られない場合もあります。さらに、国内では承認されていないなどの理由により、実際に治療を受けることが難しく、従来の治療を選択することになる場合もあります。その場合は従来の治療を行うことになります。治療方法の選択については主治医とご相談ください。
がん遺伝子パネル検査で、がん以外の遺伝子のこともわかるのですか?
「がん遺伝子パネル検査」では、がんの発症に関わると考えられる遺伝子のみを調べます。検査対象となる遺伝子は、がん遺伝子パネル検査の種類によって異なります。
検査の結果から、子どもなどへの遺伝の可能性についてもわかるのですか?
がん遺伝子パネル検査によって、遺伝性のがんについての情報が得られる場合があります。がん細胞だけでなく、正常な細胞でもその遺伝子の変異が見つかる場合には、遺伝によってお子さんなどに受け継がれる可能性があります。ただし、遺伝性のがんの情報など、ご自身の病気に関すること以外の結果は、ご希望がなければ知らされることはありません。詳しくは、がんゲノム医療実施病院の医師や遺伝カウンセラーにご相談ください。

保険や費用について

がん遺伝子パネル検査は健康保険が使えますか?
2019年6月より、いくつかのがん遺伝子パネル検査は保険適用となりました。詳しい検査内容や費用は主治医、医療機関にてお問合せください。

その他

がんゲノム医療で行うがん遺伝子パネル検査と、インターネットなどで申込める民間の遺伝子検査とは、なにが違うのですか?
がんゲノム医療で行うがん遺伝子パネル検査は、がん細胞の遺伝子の状態を調べる検査です。これに対し、民間の遺伝子検査サービスや市販の遺伝子キットで調べるのは、正常な細胞の遺伝子です。そのため市販の検査キットなどでは、がんの診断・治療に関わるがんの遺伝子の状態を調べることはできません。
「エキスパートパネル」とはなんですか?
「がん遺伝子パネル検査」で得られた結果は、主治医だけではなく、がん薬物療法に関する専門的な知識をもった医師、遺伝医学に関する専門的な知識をもった医師や遺伝カウンセリング技術をもった医療関係者、病理学に関する専門的な知識をもった医師など、専門家が参加する会議で詳しく分析されます。この仕組みを「エキスパートパネル」といい、全国各地のがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院で開催されます。そこで作成される報告書をもとに、治療法を選択します。
個人の遺伝子の情報は、どのように守られるのでしょうか?
患者さんのがん組織を検査機関に送る際の情報や、検査の結果得られたデータなどは、患者さん個人を特定できない形で、日本の個人情報保護法に則り、適切に取り扱われます。
がんの遺伝子の情報をC-CATに提供する場合があると聞きました。C-CATとはなんですか?
がんゲノム医療の新たな拠点として設立されたのが「がんゲノム情報管理センター(C-CAT:Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics)」です。このセンターは「国立がん研究センター」の中にあります。がん遺伝子パネル検査を受ける前に、結果や治療の情報をC-CATへ提供することに同意すると、個人が特定できない形でそれらの情報がC-CATに登録されます。C-CATでは全国から集められたがんゲノム医療の情報を保管し、新薬や新しい治療法の開発のために適切に活用します。情報を集めるだけではなく、薬剤に対する効果や予後などの臨床情報を、がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院に提供するなどして、より質の高いがんゲノム医療を、より多くの患者さんに届けることを目的としています。
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