遺伝子変異に合わせたがん治療とは
ー 代表的な遺伝子変異
BRAF遺伝子変異
(V600EまたはV600K)とは

BRAF遺伝子に変異が起こるとどうなるの?

RAF(ラフ)は、細胞の増殖に関わるタンパク質のひとつです。
RAFタンパク質には、「ARAF(エイラフ)」、「BRAF(ビーラフ)」、「CRAF(シーラフ)」の3種類があります。3種類のRAFタンパク質を作り出す遺伝子のどれかひとつに変異が起こると、異常のあるRAFタンパク質が作られ、必要のないときにも細胞が増殖し、がんが発生しやすくなると考えられています。
BRAF遺伝子変異によって起こる細胞内の変化(イメージ図)
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BRAF遺伝子変異は、どんな患者さんで確認されているの?

3種類のRAFタンパク質を作り出す遺伝子のうち、遺伝子変異が確認されているのは主にBRAF遺伝子です。BRAF遺伝子の変異は、皮膚がん(悪性黒色腫)、甲状腺がん、大腸がん、肺がんの患者さんなどで確認されています*1。有毛細胞白血病では、ほとんどの患者さんにBRAF遺伝子の変異が確認されます*2
また、BRAF遺伝子の変異には「V600E」「V600K」などいくつかの種類があります。皮膚がん(悪性黒色腫)の患者さんで確認されるBRAF遺伝子の変異は、ほとんどがV600Eですが*2、肺がんの患者さんではV600Eの割合は半分くらいで、その他の種類のBRAF遺伝子の変異も確認されています*3
*1 Davies, H. et al.: Mutations of the BRAF gene in human cancer. Nature, 417(6892): 949-954, 2002.
*2 Holderfield,M. et al.: Targeting RAF kinases for cancer therapy: BRAF-mutated melanoma and beyond. Nat Rev Cancer. 14(7): 455-467, 2014.
*3 Paik, P.K. et al.: Clinical characteristics of patients with lung adenocarcinomas harboring BRAF mutations. J Clin Oncol 29: 2046-2051, 2011.

BRAF遺伝子変異が確認された場合、治療の方針はどう変わるの?

2020年4月現在、悪性黒色腫と肺がんの患者さんには、BRAF遺伝子変異に対応した保険適用の薬剤があります。これらの薬剤はBRAFタンパク質の働きを妨げる作用があり、検査でBRAF遺伝子変異が確認されれば、効果を示す可能性があると期待されます*4
がんゲノム医療による検査や治療については、主治医、医療機関にてご相談ください。
*4 日本肺癌学会: 肺癌患者におけるBRAF遺伝子変異検査の手引き 第1.0版 2018年4月5日.

コラムCOLUMNエキスパートパネルとは

がん薬物療法、遺伝医学、遺伝カウンセリング、病理学などに関する専門的な知識をもった医師などの専門家が参加する会議で、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて、患者さんの治療方針を検討します。エキスパートパネルは、国が指定するがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院で開催されます。
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