遺伝子変異に合わせたがん治療とは
ー 代表的な遺伝子変異
ALK融合遺伝子とは

ALK遺伝子に変異が起こるとどうなるの?

ALK(アルク)は、細胞の増殖に関わるタンパク質のひとつです。
ALKタンパク質を作り出す遺伝子が、他の遺伝子と結合した状態で確認されることがあります*1*2。このように、ある遺伝子が他の遺伝子と結合してひとつの遺伝子のようにふるまう変異を「融合」といいます。
ALK融合遺伝子から異常なタンパク質(ALK融合タンパク質)が作られると、必要のないときにも細胞が増殖し、がんが発生しやすくなると考えられています。
*1 Morris, S.W. et al.: Fusion of a kinase gene, ALK, to a nucleolar protein gene, NPM, in non-Hodgkin’s lymphoma. Science. 267(5196): 316-317, 1995.
*2 Soda, M. et al.: Identification of the transforming EML4-ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer. Nature. 448(7153): 561-566, 2007.
ALK遺伝子変異によって起こる細胞内の変化(イメージ図)
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ALK遺伝子変異は、どんな患者さんで確認されているの?

ALK融合遺伝子は、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍、肺がん、乳がん、大腸がんなどの患者さんで確認されています*1*3*4
ALK遺伝子が融合する相手の遺伝子はさまざまですが、例えば主に肺がんでみつかる「EML4」という遺伝子とALKとの融合遺伝子は、頻度は低いものの、若い患者さんやタバコを吸わない患者さんで確認されることがあります*3*5
またEML4とALKの融合遺伝子をもつ患者さんはほとんどの場合、肺がんで確認されることの多いEGFR遺伝子変異KRAS遺伝子変異を、もたないことが知られています*4*6
*3 日本肺癌学会: 肺癌患者におけるALK融合遺伝子検査の手引き 第3.1版 2019年2月.
*4 Lin, E. et al.: Exon array profiling detects EML4-ALK fusion in breast, colorectal, and non-small cell lung cancers. Mol. Cancer Res. 7: 1466-1476, 2009.
*5 Inamura, K. et al.: EML4-ALK lung cancers are characterized by rare other mutations, a TTF-1 cell lineage, an acinar histology, and young onset. Mod Pathol. 22(4): 508-515, 2009.
*6 Mano H.: Non-solid oncogenes in solid tumors: EML4-ALK fusion genes in lung cancer. Cancer science. 99: 2349-2355, 2008.

ALK遺伝子変異が確認された場合、治療の方針はどう変わるの?

2020年4月現在、肺がんと未分化大細胞リンパ腫の患者さんには、ALK融合遺伝子に対応した保険適用の薬剤があります。これらの薬剤はALKタンパク質の働きを妨げる作用があり、検査でALK融合遺伝子が確認されれば、効果を示す可能性があると期待されます*3
がんゲノム医療による検査や治療については、主治医、医療機関にてご相談ください。

コラムCOLUMNエキスパートパネルとは

がん薬物療法、遺伝医学、遺伝カウンセリング、病理学などに関する専門的な知識をもった医師などの専門家が参加する会議で、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて、患者さんの治療方針を検討します。エキスパートパネルは、国が指定するがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院で開催されます。
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